Atsushi Yamane

3月13日5 分

SENNHEISER HD490 PRO 最速レビュー

「HD490 PRO まさにこんなヘッドフォンを長年待っていました」


 

 

新製品の HD490 PROを使用させて抱きました感想です。
 

 手にして直ぐに分かるのがユーザー目線の要望を限りなく取り入れた製品という事。

10年以上、同社の HD600を使用してきたので久しぶりの同社のプロラインの新製品ということで厳しめに評価するつもりした。(何故か型番が若くなるのに新製品www)こちらが僕が長く愛用しているHD600の改造盤、主にイヤーパッドとハウジングにより正確なモニターになるように独自改造しています。

 

1. イアーパッドの柔軟なアイデア

 音質を決定する重要なパーツ、イアーパッドをトラックメイク、ミックス&マスタリング用の2種類を同梱するという拘り用、どちらもしっかりとそれぞれの作業を行いやすくチューニングされつつ、基本の音質を維持しながら特性をだしているのは流石のゼンハイザー。

トラックメイク用のローのアタック、スピードの掴みやすさは最近にダンストラック主流の流れを汲んだもので、同社のDJ向きの製品に通じる部分もあります。高域も伸びやロールオフも自然で、所謂ドンシャリではないです。リズムの掴みやすさはアコースティックな音楽でも演奏のしやすさにつながり良いテイクに結びつきます。キューボックスの大事さを理解した音質です。(開放型ですので用途は限られます)

 また、編集用のイヤーパッドはよりフラットになります。イヤパッドの素材とクッションの堅さでここまでチューニングできるのだなと感心しました。

自分の中でのゼンハイザーサウンド(HD600,650)に近いのはこちらです。

イヤパッドの適度な堅さと厚みによる影響を加味した高域のチューニングも大変素晴らしく

HD600などとは比べものにならないくらい現代の音楽にあわせてきているのでレンジは広いのですが過度に伸ばしてきていないので、逆に最終的な音源の仕上がりが地味になりすぎず良いなと思いました。

 実際は作業にあわせて頻繁に取り替えるという事はないので、自宅とスタジオ用で用途の異なる2台欲しくなりますした。

(なかなか商売上手ですwww)

 そして特筆すべきはこれらのイヤーパッドが洗濯できるという素晴らしさ。

つまり、それだけ耐久性もある。実売6万円の製品なのである程度の耐久性を気にしながら

使う部分もありますが、そこはかなり安心。コロナ禍以降、衛生面も気にする場面もあると

思いますがその流れも汲んだものでしょう。

2. 抜群の装着感

  ここが凄く強調したい所でもありますが、同社のなかでは歴代1位の装着感です。

  音質を重視した上で軽いだけでなく、私のような普段メガネをかけた人向けに

  溝までついています。サングラスやメガネを装着しているときにヘッドフォン作業の気持ちの悪さが改善されるというのはこれまで他社を含めてなかったですから。ぜひメガネをかけた状態で店頭などで試着して頂きたいです。少しの工夫でここまで変わるのかと驚きました。

  音は良いけどヘッドフォンバンドの堅さでメガネの柄が長時間の使用で曲がる製品もありましたから。

日本の住環境でスピーカーを鳴らさないでヘッドフォンだけで長時間制作される方もいる思いますので、制作が終わったときの疲労感の違いに驚かれるとおもいます。長い時間に使用でその差はかなりでると思いますよ。

3.絶妙なヘッドフォンケーブルの長さ

  もう、これこれ、この長さがベストという長すぎず、短すぎない絶妙なケーブル長です。

  機材に絡まない、しかも必要な長さという。今まで自作してきたのでよくぞ理解して

 合わせてくれましたとう使いやすさです。

しかもヘッドフォン側だけ4周分のカール付き、これは本来ノイズ対策の為ですが

これのお陰で変なテンションが掛からず断線予防になるという副産効果も。

素晴らしすぎます。

ほんとにユーザー目線のプロダクションが感じられます。また、今後、バランス仕様のケーブルも販売されるそうなので期待大です。

(ヘッドフォン側にも対応出来るように事前に接続用の穴がついています)

「肝心の音質について」

イヤーパッドをミックス&マスタリング用に換えて聞きこみました。

結論からいうと HD490で制作してモニターミスは無いと思える信頼できる相棒になると思います。

HD600シリーズのバランスの良さを残したまま、レンジを広くしたイメージ(特に低音部分)ですので誇張された所もないですし、リバーブエンドなども掴み易く、開放型ですが、リップノイズやテイクのつなぎ目の確認もしやすく感じました。

仕事で使う道具は悪い所は悪くみせてくれないと困るのでこの点でも安心感があります。

正直600シリーズは音は好きですが、今のシーンの音楽だと少しレンジが物足りなく、他社製品を使う機会も増えていたので、再び大好きなゼンハイザーに戻れるのは個人的には嬉しいです。

2MIXでの作業での不満は感じなかったので、次にバイノーラル音源のミックスで空間性の再現を確認しました、ここでDear Reality社のプラグインでも併用してみました。最近のヘッドフォンには前後左右での空間性だけでなく、上下の空間性の再現も求められるので気になるところです。

(Dear Realityはゼンハイザーと関係のある会社ですが、同様のスタジオ空間を再現するプラグインはEmbody社も有名なのでプロファイルが早く出来ることを願います。)

Dear Realityとの組み合わせは流石に提携がバッチリなので良い結果になっています。

7.1.4等のモニター環境が無い場合は凄く助かります。またスピーカーでの確認環境がある場合でも7.1.4以上のスピーカー環境をもうワンセット用意するのは簡単でないので違う環境の確認という意味でも役立ちます。

実際バイノーラルでミックスも行いましたが空間再現も非常に高いです。

(最近はこの手の用途には本機と金額的にも近いSONYの MV1を使っています。こちらとの詳細な比較は別の投稿で)

開放型ならでは空間的な広がりだけで無く、繊細なパンニングによる定位の把握にもキチンと追従してきました。また2MIXよりバイノーラルは必然的にダイナミックが広くなるのですが、そのポイントでもダイナミクスの表現力は高く、パンニングよる相関関係も掴み易かったです。
 

これからうちのスタジオのミックスやマスタリングで活躍しそうです。

(お問い合わせは↑から)

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